中高層・中大規模建築物向け木造ハイブリッド構造
「ZS Wood」
ZS Wood
「ZS Wood(ズィーエスウッド)」
の特長
当社は、環境に配慮した建築技術として、中高層・中大規模建築物向けの木造ハイブリッド構造「ZS Wood🄬(ズィー エス ウッド)」を研究開発しました。
木造建築は材料である木材(樹木)が生育の過程で光合成によりCO₂を吸収・固定化することで、建築物の製造プロセスの中でCO₂排出量を抑えることができます。しかし純木造で中高層・中大規模建築物を建てる事にはコスト面・強度面での課題が大きいのが現実です。
この技術は、コスト面・強度面で優れた性能を持つ従来のRC造(鉄筋コンクリート造)やS造(鉄骨造)と環境面で優れた性能を持つ木造を効果的に組み合わせることで、建設コストに配慮しながら環境負荷を低減することができるものです。
「ZS Wood(ズィーエスウッド)」の
適用対象
この技術の適用対象は、4階建て以上、延べ床面積3,000m²以上の建築物で、構造形式には以下の3つがあります。構造形式は建物の用途や要望に応じて最適な形式を選択できます。
ZS Woodの適用範囲
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1 立面混構造
上層4フロアまでを木造化し、下層をRC造またはS造とする形式
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2 ハイブリッド混構造
構造部材の一部を木質化する形式
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3 平面混構造
建物の正面(ファサード)など、一部を木造化する形式。
ZS Woodの構造形式(茶色が木造の部分)
環境負荷低減効果の検証
S造11階建ての都市型オフィスビルをもとに、ZS Woodにより木造ハイブリッド構造(上層4フロアを木造化)に構造変更した試設計を行い、環境負荷低減効果を試算※1しました。
試算した結果、建設時のCO₂排出量※2の削減量として、424t-CO₂の削減効果が確認できました。これは従来のS造と比較して約7%の削減で、杉の木約3万本が1年間に吸収するCO₂の量に相当します。また、木造部分では336t-CO₂分の炭素を固定化※3できることが確認できました。
このように、ZS Woodは中高層・中大規模の建築物における木材の活用により、環境負荷を低減することができます。当社は今後も、環境に配慮した建築技術の開発を通じて、脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。

ZS Woodによる木造ハイブリッド造のイメージ(左) / 試設計の建物イメージ(右)

ZS Woodによる環境負荷低減効果の試算結果(S造11階建てオフィスビルの場合)
- ※1 CO₂排出量の試算は、LCA(ライフサイクルアセスメント)算定ソフト「One Click LCA」(販売:住友林業)を用いて算定しています。
- ※2 建設時のCO₂排出量は、建築物の資材調達から輸送・建設時までの段階を対象としています。
- ※3 CO₂固定量とは、樹木が成長する過程で光合成により大気中のCO₂を取り込み、木材内部に炭素として貯蔵される量のことです。木材を建築物に使用することで、大気中のCO₂を長期間にわたって固定することができます。
