地域に親しまれ、愛されるくじら橋

地域の方々に親しまれ、利用されている「くじら橋」の今の姿を紹介します。
くじら橋は、東京都稲城市にあり、稲城中央公園と稲城第二公園を結ぶ歩道橋として、南多摩尾根幹線道路をまたぐように架かる橋です。 眼下には南多摩尾根幹線道路と広い中央分離帯が見え、晴れた日には、遠く東方向に、新宿のビル群や六本木ヒルズ、東京タワー、レインボーブリッジといった都心の風景を見渡すことができます。

工事概要
- 橋梁形式
- PC単径間固定式門型ラーメン橋
- 橋長
- 107m
- 支間
- 100.5m(本形式では我が国最大)
- 幅員
- 24.4m~16.8m
- 着工
- 1995(平成7)年3月
- 竣工
- 1997(平成9)年7月
「くじら橋」ってどんな橋
くじら橋は、橋の下部がすべて「曲面」で構成されており、その優美な姿から、一般的に重厚長大で無機質なイメージの強いコンクリート構造物と違い、繊細で洗練されたオブジェのような歩道橋です。完成以来、変わらぬ優雅さを漂わせています。橋の両脇にはツツジが植えてあり、幅員は16.8m~24.4mと比較的広く、ゆったりとしています。
日頃は、犬を連れて散歩する人、自転車に乗った中学生や地域の人々が行きかいます。橋がまたいでいる南多摩尾根幹線道路の交差点の名前も「くじら橋」となっており、すっかり地元に定着しています。また、夜になると、橋の両端が下からライトアップされ、橋体が白く浮かび上がります。付近には鯨の親子の石像もあり、見る者の目を楽しませてくれます。




「くじら橋」という名前は、地元の小学生からの公募によって命名されました。橋の下部が、あたかもクジラの胴体を想像させる曲線部を醸し出していることから、まさにピッタリのネーミングと言えるでしょう。



土木学会 田中賞受賞(作品部門)
くじら橋は、技術的にも 難度の高いプレストレストコンクリート構造物で、優れた技術と特色、美観を有すると認められ、1997年度の土木学会田中賞(作品部門)を受賞しました。
また、プレストレストコンクリート(PC)技術の進歩と発展に著しく貢献し、PC技術を用いた構造物の将来の方向を示すとともに、社会基盤施設の形成に大きく寄与したとして、1997年度のプレストレストコンクリート技術協会賞(作品部門)を受賞しました。
さらに、美的価値、独創性あるいは環境との調和等において、技術面も含めて優れていると認められるコンクリートで構成されている造形物として、1998年度の日本コンクリート工学協会賞(作品賞)も受賞しました。
