「銭形平次」誕生秘話 The Secret Story “Zenigata Heiji”

得意技の投げ銭で悪を討つ岡っ引「銭形平次」の
活躍を描いた傑作小説シリーズが、
野村胡堂氏(1882~1963)の『銭形平次捕物控』です。
この銭形平次誕生のヒントとなったとされるのが、
当社の社名と社章でした。

文藝春秋から
「岡本綺堂[1]の『半七捕物帳』のような小説を」と
依頼された胡堂氏。

主人公は半七と同じ岡っ引[2]にしましたが、
全く同じでは能がない。
中国の歴史小説『水滸伝』の中に登場する
「小石投げ」の名人のような得意技がほしい。
まず「平次」という名前が決まったものの、
姓と得意技は名案が浮かばない、

そんな時ふと窓外に目をやると…

編集局の二階のまどから、ぼんやりと空を見ていると、春がすみの中に、ビルの鉄骨が組み上がって、その上に、「設計、施工、錢高組」と大きな文字が浮かんでいた。野村胡堂『胡堂百話』より

胡堂百話

銭形平次

ポン、と膝をたたいて得意技の
「投げ銭」がまず決定。
主人公の名前は「錢高」では商標もあるしと
「銭安」「銭○」「銭○」・・・と
あてはめていくものの、うまくいかない。
そこで「錢高」の「タカ」を逆にして「ゼニカタ」。
ついにこれに決まったといいます。

こうして1931(昭和6)年に生まれたのが
『銭形平次捕物控』でした。
誕生以来27年間で383編の物語が発表され、
テレビドラマ等にも多数翻案されました。
さらにはアニメ『ルパン三世』に登場する
「銭形警部」のモデルになるなど、
銭形平次は時代を超えて多くの人々に
親しまれています。
ちなみに『銭形平次捕物控』が
発表された1931(昭和6)年は当社が株式会社として
発足した年でもあり、
当社と「銭形平次」との深い縁を
感じさせるエピソードです。

また当社は、胡堂氏の出身地である岩手県紫波町に
1995(平成7)年6月に開館した
野村胡堂・あらえびす記念館」の施工を
担当しています。

小説家としてだけでなく、
音楽評論家「あらえびす」としても著名な
胡堂氏の業績を顕彰するもので、
岩手県の代表的な建築様式「南部曲がり家」を
モチーフにした建築です。

野村胡堂・あらえびす記念館
野村胡堂・あらえびす記念館

参考:

[1] 岡本綺堂:小説家(1872~1939)。代表作『半七捕物帳』はシャーロックホームズの影響を受けた日本初の岡っ引の捕り物小説。
[2] 岡っ引:江戸時代の警察機能の末端を担った非公認の協力者、私立探偵。

参考資料

岡本綺堂:小説家(1872~1939)。代表作『半七捕物帳』はシャーロックホームズの影響を受けた日本初の岡っ引の捕り物小説。

参考資料

岡っ引:江戸時代の警察機能の末端を担った非公認の協力者、私立探偵。